確信犯
「…今なら殺せるよ?コイツ抱いてなかったら…やってる」
私の右頬が。
引き攣るみたいに動いて。
匠の怒りを含んだ声に比例する。
「…こんなヤツが親だなんて…寂しすぎるな――美森」
怒りと、
心配がないまぜになった音で。
匠が囁いた。
政宗に捕らわれた白澤有雅は。
匠に抱かれた私へ。
手を伸ばそうと再び暴れ出して。
宙に伸びた白澤有雅の腕を。
匠は、強く引きずり寄せてから。
思い切り、
振り払った。
「……もっと、強いと思ってたけど…全然弱ぇんだな…」
匠が。
自分の掌を開いて言うから。
急激に、苦しくなる。