確信犯
匠は。
どれくらいぶりに。
白澤有雅を掴んだんだろう。
以前、匠が白澤有雅を殴った時は。
一方的だったし。
白澤有雅は、尋常じゃなかった。
いつの間にか大人になって。
白澤有雅よりも。
匠の力の方が強くなっていて。
匠の中で。
ナニかが壊れたんじゃないか、と。
心配になる。
指を伸ばして。
匠の頬に這わせたら。
キュッ、と手を握られた。
「…美森、大丈夫だ。ナニが起きても時間がかかっても、なんとかしてやる。必ずだ」
労るような。
それでいて、強い声がして。
私の右耳に。
そっと、匠の掌が被さったから。
少し笑ってみせた。