確信犯
「もう…怖くないの?」
私のコト、怖くないの?
コポコポと。
水音がするような世界から。
訊ねてみる。
「…違う怖さなら――ある。だけどオマエにだったら、喜んで利用されてやる。温泉の時にも言ったろ?」
私の頭を抱えるようにして。
「オマエが記憶失くすのはヤだな」
自嘲気味に匠が息を吐くから。
「――そう、だった…今さらだけど、もう大丈夫?奥平チーフは…?」
問いかける間も。
聴力検査で流されるような、
キーン、という高めの耳鳴りは。
明らかに右耳から継続してて。
「大丈夫。奥平さんなら、美濃部の渉が抱えてる。オヤジは政宗が抑えてる。俺は、オマエしか抱かない」