確信犯



「もう…怖くないの?」



私のコト、怖くないの?






コポコポと。


水音がするような世界から。


訊ねてみる。






「…違う怖さなら――ある。だけどオマエにだったら、喜んで利用されてやる。温泉の時にも言ったろ?」






私の頭を抱えるようにして。



「オマエが記憶失くすのはヤだな」



自嘲気味に匠が息を吐くから。






「――そう、だった…今さらだけど、もう大丈夫?奥平チーフは…?」



問いかける間も。


聴力検査で流されるような、


キーン、という高めの耳鳴りは。


明らかに右耳から継続してて。






「大丈夫。奥平さんなら、美濃部の渉が抱えてる。オヤジは政宗が抑えてる。俺は、オマエしか抱かない」





< 414 / 500 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop