確信犯
私を繋ぎ止めるように。
また、そんなコトを言う。
「オマエは何が好きで、何を見て笑う?なんにも引きずらないで、ただ笑ってるオマエのカオが見たい」
重なりあう生活史が少ないから。
言葉が少ないから。
そんな質問は新鮮で。
意識を保てる。
「オマエの幸せな姿を見るのが、俺の夢だよ」
でも。
気を抜いた途端に。
浴びる包容力。
「色々初めてでウマく言えねーけど…オマエの言葉なら全部きくから。大丈夫だから」
匠の。
鎖骨や首の骨の硬さを感じて。
吐息が漏れかけるのをこらえる。
これは一過性のキモチだと。
理論付けなかった匠に。
掬われて――救われていた。