確信犯
渉さんの言動に。
不安が増していく中。
「だってね。もう対応しちゃった」
思いがけない言葉に。
緊張で迫り上がった胃が。
固まるような感じがして。
「…どういう…」
「あーうん。見る?」
「ナニを?」
髭を生やした口元を緩ませて。
渉さんが。
タブレット端末を取り出した。
操作をしてから。
私に画面を向けるから。
不安なキモチが戻ってくる。
目を遣ると。
白澤印刷が扱うニュース画面で。
《インセスト・タブー(近親相姦)
インタビュー》
という、見出しがあった。
こんなインタビュー対象は。
匠、しかいない。