確信犯



恥ずかしいのか。


たまりかねたような匠が


私を、手繰り寄せる。






胸を叩くほどの痛さで、


鼓動が鳴った。






血管が、イタくて


イタくて






血流がひとつに集まったみたいで、


動けなかった。






「なぁ……リスクは承知でもう1人、産んでくれないか?支え合える兄弟姉妹を…この子にもあげたい」






傍らの。


私たちの子供を示す言葉。






私は手繰り寄せられたままだから。


肩口に匠の唇と、


吐息が染み込んできて。


匠の熱を、受け取ってしまう。






「――兄弟が多いのは…素敵だね」






小さく、“願望”として呟いたら。


匠の腕に、力がこもった。





< 453 / 500 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop