確信犯
「すぐに、無理はさせねーから」
気遣うような匠の声が、
私の、右側の耳元でして。
右耳で、聴こえたという証に。
頷いてみせた。
「大切なオマエと俺の、子…のタメならなんでもできる。俺の、子って…照れる…な。嬉しすぎてハズイ…」
ナゼか、匠が今さら。
激しく身悶えだして。
私の肩から、カオを上げない。
そんな匠の様子が。
可笑しかったから。
声を上げて笑った。
私は。
いつ、声を出して笑ったっけ。
もう、覚えてない。
でも。
こんな、ささやかなコトで。
笑えるなら。
きっと、もう大丈夫。