確信犯
名字が変わった私は。
一ノ瀬の養父母から見ても、特に。
普通の結婚と変わりがなくて。
むしろ。
子供の“父親”ができたコトを、
喜ばれた。
今までの私に、気を揉んだ分。
ちゃんとするなら。
美森が幸せなら。
それでイイのだと言われて。
養父母の想いに、胸を打たれた。
同時に。
「渉さんは誰とも似てないわね」
「母親に似たんだろ?」
という、
気の抜ける養父母の会話を聞いて。
こらえていた、涙が。
笑いと共に零れて。
とても、困った。
困りながら、笑って。
涙が零れるから、困って。
ただただ、頭を下げた。