確信犯



新しい“家族”としての、


初めての夜。






匠が。


深い二重瞼に光を受けると。


陰影をつくるから、キレイで。


魅入っていた。






「家族が…欲しかったんだ。自分が大切だと思えるだけじゃなくて、返ってくる温もりが欲しかった」






ゆっくりと、まばたきして。


匠の瞳は、私に向けられる。






だから。


私もゆっくりと。


匠の想いを肯定して、頷く。






「俺、さ…泣くコトができない不器用な女が、好きみたいだ」


「うん」


「それでいて俺のコトを、丁寧に丁寧に想うキモチを溢して、泣いてくれる姿がもっと好き。そんな、まどろっこしい女が大好きだ」





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