確信犯
演じること
❇~❇~❇
予感なら。
嫌な予感しか、ない。
添付された指定先の住所まで。
不案内ながらも、地下鉄で移動。
名古屋の地下鉄は。
自分の土地よりも。
入口から構内までの距離が。
どこも長く、感じた。
老舗感が漂う料亭の店先で。
住所を確認していると。
指定時間より30分前に。
タクシーが停まった。
ドアから伸びた足。
仕立ての良さそうな生地。
そこから他は、見なくても。
分かる。
「成果、見せろよ」
見上げた長身の、主。
ズルそうに、微笑む男。
嫌な予感通りの。
匠、だった。