確信犯
その過去には。
匠の“記憶喪失”があるから。
「優しいな」
やっぱり。
匠は、バカじゃない。
「お前のそーいうの。俺にとっては小さくないキッカケ。俺の心が反応したコトのひとつだ」
嬉しそうに。
匠のキレイな両目が細くなる。
皮肉げじゃない、笑顔。
後ろめたさを。
感じてしまう前に。
「貴方の心に、何の興味もないの」
冷たい、ツメタイ目で。
一瞬だけ。
匠に視線を流す。
そんなカオも。
私への感想も。
全部。
凍ってしまえばいい。