私と上司の秘密
課長の顔を見た時、ふと、大学時代のトラウマに近い感情がよぎった…。


『あの時みたいに裏切られたりしないかな?』

思い出すと、鼻の奥が少し痛くなり、泣きそうになる。


「どうしたんだ?」


丁度、信号待ちをしていた。


課長は、心配そうな顔をして私を見ていた。


「…何でもありません。」


『本当は、何でもないということは、ない。』


つい、嘘をついた。


信号が青になり、車が動いた。


「…そっか。」


それ以上、何も聞いてこなかった。
< 204 / 299 >

この作品をシェア

pagetop