私と上司の秘密
仕事から帰宅後、私は、夕食の準備をしていた。


すると、私の背中から両腕が伸びてきて、私に抱きついてきた。


私は気配に全く気付かずに、びっくりして、
危うく包丁を落としそうになる。


『アブナイ、アブナイ…。』


犯人は、勿論、圭介だ。


毎日、家にいる時は何かにつけて、私に密着してくる。


料理をしている時、掃除をしている時、どんな時でも私の体のあらゆる所を触ってきたりする。


落ち着いて家事が出来るはずもなく、

「ちょっと離れて下さい。」

と言うと、

「凛のこと、好きだから、いつでも、触っていたいの。」

そう言われると、返す言葉がない。


後ろから抱きついたまま、顔を私の肩に置き、
覗きこむように、

「今日の夕飯は、何?」

と聞いてきた。


「びっくりさせないで下さい。
足音もたてないで来られたら、心臓に悪いです。」

「毎回のことだから、そろそろ、馴れないとな。」

耳元で甘い低い声で話すので、本当いろんな面で困る。


私の視界に入る圭介の手の甲に思わずうっとり見てしまう。


触りたくなる衝動を抑え、今は、夕食の準備の方に意識を戻す。
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