私と上司の秘密

眼を覚ますと、一面無機質な白い景色。

そして、私をながら、圭介が顔面蒼白している姿。


「凛、目、覚ましたか。
大丈夫か。」

と圭介が、覗きこむ。


かなり動揺している様子が見て分かる。


「ここ、は？」

「病院だ。」

私の両手を圭介に握られている状態のまま、圭介は、告げた。


続けざまに、

「凛、貧血を起こして倒れたんだ。
俺の目の前でいきなり倒れたから、俺、生きた心地がしなかったぞ。」

「大袈裟ですね。」

無理に笑顔を作り、笑いながら話した。


「圭介、仕事戻らなくていいんですか？」

そう話しながら、不安がよぎる…。


まだ、胎動も見た目にも分からない自分のお腹を擦る。


「子供・・・は？
大丈夫？」

「心配することない。
お腹の子、大丈夫だ。
安心しろ。
それと、俺も凛も有給取ったから、一緒についててあげるから。
点滴終わったら帰ろう。
何にも心配はいらない。」


『そう言えば何か違和感があると思っていたら、腕に針が刺さっていたんだ。』


少しはっきりしない意識の中で、理解した。


「終わるまで大人しく寝てろ！
ずっと側に付いていてやるから。」

圭介の手が私の頭を撫でる。


その後、また、私の両手を圭介の大きい両手で
包み込むように握られる。


それに安心するかのように、睡魔が襲ってきて、深い眠りについた…。


後で、私が倒れた時、圭介は真っ青な顔になって、周りの人達が注目しているしていることに構うことなく、走って、私をお姫様だっこをして車に乗せて病院まで連れてきてくれたということを聞いた。


『そんな圭介を少し見たかったなあ。』

大変な状況でそんな残念なことを考える私であった…。