私と上司の秘密

『私は、夢、それとも、幻を見たんだろうか？』


そう思いながらと言うか、そう思うように
した。


以前と変わらず、何事もなく１週間程過ぎた頃、課長から急に会議室に呼び出される。


周りの社員は

『アイツ、またやらかしたか…。』

というような冷ややかな目を私に向けている
ような気な気がして、視線が何となく痛く感じた。


私は、憂鬱な気分で、重い足取を引き摺るように会議室へ向い、猛獣の檻でも開けるように扉をゆっくり開け室内を除きこんでみたが、室内には誰もいる様子はなく、静かな空間だった。


今の不安な気持ちをまぎらわす為に、取り合えず、窓の景色を眺めていた。


外の景色は、私の憂鬱な気分とは対照的に、
青空が、どこまでも遠く広がっていた。


少しすると、扉の開く音がした。


と共に『ガチャッ』と鍵のかかる音がした。