私と上司の秘密
「かっ・か・ちょう、だめです。
こんなとこで…。
誰が来るか分からないですし…。」

刺激が強すぎる。


うつ向いたまま、言うと、


「大丈夫だ。
誰も来やしない。
違う場所ならいいのか。」


課長は、大人の色気を帯びた、誘うような目を
していた。


「そうだ、二人で会う時は『課長』って
呼ぶの禁止。
仕事している気分になる。
今は、プライベートだからな。
そうだ、練習。
呼んでみて。
って言うか、凛、俺の下の名前知っているか?」

「す、すいません。
知りません。
ごめんなさい。」


「圭介だ。
圭介って呼んでみろ。」


命令口調で言われる。


「け・い・す・け・さん?」

「圭介でいい。
もう一回。」


「けい・す・け?」


「はい、良くできました。」


まるで、子どもを誉めるみたいな言葉で、
私の頭を軽く『ポンポン』とたたいた。



『課長とって私は、一体、どんな存在
なんだろうか?』


どれだけ考えても答えは見つからなかった。



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