私と上司の秘密
私はやや摺り足ぎみで、猛獣にでも近寄るように、恐る恐る課長のデスクへ向かう。
「課長、何でしょうか?」
額を汗で湿らせながら、緊張のあまり拳をつくった掌にも汗を滲ませ、少し声を震わせ尋ねた。
「何でしょうじゃないよ。
ここ、数字が、一桁多い!」
私が午前中にパソコンで打ちこんだ、プリントアウトした書類の数字を指さしながら、やや眉間に皺を寄せて、厳しい表情で話す。
私は、怒られているにも関わらず、その内容は初めのうちしか頭に入らず、後半になると、いつも、課長の手の方に視線が向いてしまい、私の頭の中は、課長の手のことばかりでいっぱいになってしまう…。
スーツの袖口からしなやかに伸びるように見える大きな手に、細くて綺麗な長い指。
血管の筋が浮き出て、ゴツゴツとした手の甲。
『私は、課長の手がたまらなく好きだ。』
今日も、気付くと課長の手に見とれていた。
『あの手で抱き寄せて欲しい。』
『あの手で、《ギュッ》と私の手を握って
欲しい。』
『あの手で、頭をクシャクシャっと撫でて欲しい。』
『あの手を、指を、頬擦りしてみたい。』
課長の手を眺める度に、日に日にそんな妄想が大きくなっていき、そして、そんな欲望が何故だか分からないが、私の中に沸々と湧いてきた。
課長の手を見る度に、そんな願望が、どんどん膨らんでいく…。
こんな感覚に陥ったのは、初めてのことで、
自分に戸惑うばかりだ…。
『自分でも、怖いと思ってしまうほどに…。』
『誰にも言えない、言えるはずもない、私の秘密…。』
「課長、何でしょうか?」
額を汗で湿らせながら、緊張のあまり拳をつくった掌にも汗を滲ませ、少し声を震わせ尋ねた。
「何でしょうじゃないよ。
ここ、数字が、一桁多い!」
私が午前中にパソコンで打ちこんだ、プリントアウトした書類の数字を指さしながら、やや眉間に皺を寄せて、厳しい表情で話す。
私は、怒られているにも関わらず、その内容は初めのうちしか頭に入らず、後半になると、いつも、課長の手の方に視線が向いてしまい、私の頭の中は、課長の手のことばかりでいっぱいになってしまう…。
スーツの袖口からしなやかに伸びるように見える大きな手に、細くて綺麗な長い指。
血管の筋が浮き出て、ゴツゴツとした手の甲。
『私は、課長の手がたまらなく好きだ。』
今日も、気付くと課長の手に見とれていた。
『あの手で抱き寄せて欲しい。』
『あの手で、《ギュッ》と私の手を握って
欲しい。』
『あの手で、頭をクシャクシャっと撫でて欲しい。』
『あの手を、指を、頬擦りしてみたい。』
課長の手を眺める度に、日に日にそんな妄想が大きくなっていき、そして、そんな欲望が何故だか分からないが、私の中に沸々と湧いてきた。
課長の手を見る度に、そんな願望が、どんどん膨らんでいく…。
こんな感覚に陥ったのは、初めてのことで、
自分に戸惑うばかりだ…。
『自分でも、怖いと思ってしまうほどに…。』
『誰にも言えない、言えるはずもない、私の秘密…。』