私と上司の秘密
「おい!宮下、ちゃんと聞いてるのか!」

「は、はい。」


私の妄想の世界が、一瞬で頭から消えてしまう。


『つい、課長の手に見とれてしまっていました。』

…と、そんな言い訳を返答出来るハズもない。


『そんなことを正直に話してしまったら、
課長にきっと、変な目で見られるに違いない
だろう…。』


我にかえり、現実の日常へと引き戻される。


「じゃあ、ちゃんと直してこい!
分かったか?」


そう言って、今まで私に向けていた視線をパソコンの画面に戻す。


キーボードを打つ課長の手にまた、つい、見とれてしまう。

時々、自分で自分のことを

『私って変なのかな?』

と、つい考えてしまうことがある。


『ダメだ、早く終わらせなきゃ。』


雑念を何とか振り払い、

「分かりました。」


そう、課長に一言告げて、意識を戻し、自分のデスクに戻った。
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