私と上司の秘密
その時、

「痛っ!」

太もものつけね近くに、軽い傷みが
走る。


「俺のものだというしるし。」


そういって、不敵な笑を浮かべながら、傷みがあった部分を優しく撫でた。


「アイツには、見せんなよ。」

課長の言葉の意味が分からず、

「えっ、アイツって?」

と聞き返した。


「アイツ、清水だ。」

「清水君?
何で、また、清水君の名前、出てくるんですか?前にも言いましたけど、見せる訳ない
じゃないですか。」

「アイツと仲いいし、それに、アイツ、凛を
狙ってるみたいだし…。」

「…そんなの、ありえないです。
それに、こんなことするの、かちょ、あっ、
圭介と、だけです。」

「凛、また言い間違いしたな。」

二人の時は、名前で呼ぶことを言われて
いたが、慣れていないので、つい、
言い間違ってしまった。


「ただ、アイツは、好きではない。
凛と仲良くする男は、腹が立つ。」

「腹が立つ、ですか?
別に、仕事での付き合いじゃないですか?」

「それでもだ。
…、もしかしたら、俺は、嫉妬しているのかも知れないな。」

そう言いながら、少し、照れた表情をしながら、軽く髪をかきあげた。
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