私と上司の秘密
私は、修正を終えた完成したばかりの書類を
恐る恐る、課長に持っていった。


課長は、私の足音に気付いたのか、ゆっくりと
顔を上げて、目を細め人物を確認するかのように、こちらを見た。


私は、

「確認お願いします。」

と言って、課長に書類を手渡した。


課長は無言のまま、唇を真一文字に結んだ状態で、ただ1枚1枚めくり私が修正した書類を
確認しているようであった。


私は、その間も、いつものように、課長の指や
手の甲をじっと眺めていた。


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