私と上司の秘密
車内は、飾り気も特になく、課長の自宅と
同様に、シンプルなものだった。


唯一と言えば、車内に、柑橘系の爽やかな
芳香剤みたいな香りがしていた。


初めて、課長の車に乗って、おまけに、父以外
の男性の車には、乗ったことがなく、いろんな意味で緊張してしまう。


私は、下を向いて、自分の膝の方を見ていた。


「下ばかり、見ていたら、酔うぞ!」

と課長は、言った。


私は、思わず、運転している課長の方を見た。


課長は正面を見ていた。


運転している姿が、ハンドルに置いた手が、
格好良すぎた。


その姿を見ていると、

「凛、こっち見過ぎ!」

チラッと私の方を見た。


課長と、目が合ってしまい、ドキっとした。
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