逆らっても無駄
「何です？そんな顔して」

サディスティックな笑みを浮かべ、畠山君は見ている。

「こんなの…酷い…」

蚊の鳴くような声で、抗議してみる。

わかっている。

こんな事言ったって、畠山君は分かってくれない。

彼は一度言った事を覆さない。

どんなに屈辱的な事でも、恥ずかしい事でも、絶対に強要する。

今まで何度も、そういう目に遭わされてきた。

彼に口答えする事は、火に油を注ぐ結果にはなっても、改善された事はない。

それは、彼と共に過ごしてきた私が一番よく知っているのだ。

彼と私の関係は、恋人同士なんていう甘いものじゃない。

友人関係ですらない。

元は高校の後輩だった畠山君。

でも今は。

< 2 / 9 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop