夏恋[続]
「何触ってんだよ」
「あ、やっと起きた」
パチリと目を開け、篤希が私の手を掴んだ。
そのまま、上半身だけ起き上がる。
「っ……!」
思ったより篤希との距離が近い事に驚き、私は固まった。
篤希と目が合い、そのまま見つめ合う。
篤希の目は澄んでいて、なんだか吸い込まれそうだ。
「何だよ」
「わっ…!」
目を逸らしながら、篤希は私が被っていた帽子をずらし、私の視界を塞いだ。
私はその時、篤希の頬が桃色に染まるのに気付いて、心臓辺りがギュッと締め付けられた様に苦しくなった。