夏恋[続]



「何触ってんだよ」

「あ、やっと起きた」



パチリと目を開け、篤希が私の手を掴んだ。

そのまま、上半身だけ起き上がる。



「っ……!」



思ったより篤希との距離が近い事に驚き、私は固まった。

篤希と目が合い、そのまま見つめ合う。

篤希の目は澄んでいて、なんだか吸い込まれそうだ。



「何だよ」

「わっ…!」



目を逸らしながら、篤希は私が被っていた帽子をずらし、私の視界を塞いだ。

私はその時、篤希の頬が桃色に染まるのに気付いて、心臓辺りがギュッと締め付けられた様に苦しくなった。


< 13 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop