襲撃プロポーズ【短編集】
見えぬ外の世界に久保姫の体にも緊張が走った。
一体何が起こっているのか。
今の自分はどんな状況に置かれているのか。
不安に駆られながらもなんとか状況を把握したい久保姫が再び声をかけようとすれば、彼女が口を開くより早く聞き慣れたお付きの女の声が耳に届いた。
「姫、様は、そこから出ずに、お待ち、くださ、い」
今にも泣き出してしまいそうな女の声に久保姫の胸に広がっていく不安。
何も出来ない自らの無力さに思わず手のひらを強く握る。
(私が男なら、何か出来たのでしょうか…?)
辺りを取り巻く不穏な空気にそう思わずにはいられない。
胸に走るどうしようもない痛み。
それでも言われたとおり輿の中に留まれば、更に喧騒をます外の世界。