記憶ノ時計
食事中、涼馬は静かで怜馬はうるさかった。


夕食を食べ終わった後、私が部屋に戻ろうとすると、誰かが私の肩を掴んだ。


ビクーッと体が大きく反応した。


振り返ると、涼馬が申し訳なさそうに私を見ていた。


「わ、悪い。そんなにおどろいたか?」


「い、いや、全然!ちょっと驚いただけだよ!」


本当は今めちゃくちゃ驚いてますけど。


「そ、そうか…。綾那、さっきはすまない。いきなり俺たちが付き合っているなんて言って…。驚いただろ?」


「そんな……確かに驚いたけど…。気にしないで!」


私は顔の前でブンブン手を振る。


すると、涼馬はハァッとため息をついた。


「ならいいんだが……。綾那の記憶が戻らないうちはなにもしないつもりだから、安心してくれ」


「う、うん」


涼馬はそう言うと、廊下の向こうの方へ歩いて行った。


涼馬……私たち、付き合ってるなんて全然信じられないよ……。
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