記憶ノ時計
コンコン。


キングサイズのベッドでゴロゴロしていると、ドアがノックされた。


私は起き上がって「どうぞ」と言う。


入ってきたのは涼馬だった。


ちょっと真剣な表情をしている。


「涼馬じゃない。どうしたの?」


私がベッドから降りて涼馬のもとへとかけよっていく。


すると、突然ギュウッと涼馬に抱きしめられた。


「え…?!」


私は今の状況がわからず涼馬に抱きしめられたまま唖然とする。


「りょう…」


「ごめん綾那。いきなりこんなことして。でも…俺が抱きしめてもなにも思い出せない?」


「思い出せないって…なにが?」


すると、涼馬が私の体から離れた。


「思い出せないか…。綾那、落ち着いて聞いてくれないか?」


涼馬が私の肩に手を置いた。


「さっきまでは、綾那がもうちょっと落ち着くまで言わないつもりだったんだ。だけど…やっぱり元気になってちゃんと俺の前に綾那がいて、笑ってると思うと…我慢できない」


涼馬の言っていることがよくわからなかった。


「どういうこと…?」


「綾那。俺たちは…恋人同士なんだよ」
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