BEAST POLICEⅡ
屋上のドアを開けて、最上階のエレベーターホールへ。

先程、エレベーター内で中毒者に襲われた事もある。

エレベーターは動いているようだが、使う気にはなれなかった。

迷わず階段を使用する。

美奈は今素足なので、足音が響かないのが幸いだった。

住人は全員避難しているのだろうか。

静まり返ったマンション内。

何か物音をさせれば、すぐに気付かれる。

それが他の人間ならばいいが、中毒者ならばこちらの居場所を特定させるようなもの。

極力音はさせずに歩く。

と。

「…電話?」

どこかから、電話の鳴る音が聞こえた。

先程スマホで通話を試みた際には、通話不可能だったのに。

美奈のスマホが着信している訳ではないとすると、マンション内のどこかの部屋だろうか。

運よく電話が繋がったのかもしれない。

音は、比較的近くから聞こえた。

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