BEAST POLICEⅡ
「…もう大丈夫みたいだ」

美奈の口許から手を離す男。

美奈が振り向くと、そこに立っていたのは中学生くらいの少年だった。

背こそ美奈より高いものの、その顔はまだあどけなささえ残っている。

「お姉さん、怪我はないですか?」

「うん、有り難う…助かったわ」

美奈は素直に礼を述べる。

「お姉さんもあのおかしな奴らに追われてたの?」

「ええ…ちょっと事情は分からないんだけど…」

「え、知らないんですか?」

少年はテレビのニュースを見た分、美奈よりは現在の状況を把握しているらしく、説明をしてくれた。

バスソルトという危険ドラッグを使用した中毒者が、歌舞伎町を中心に新宿区に数百人徘徊している事、警察が避難指示を出した事、そして美奈と少年は逃げ遅れた事…。

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