BEAST POLICEⅡ
30分ほど経過しただろうか。

二人は息を殺し、部屋の中で座っている。

電気は通っているが、エアコンを動かすと室外機の音などでいる事がバレるかも知れない。

熱帯夜の中、じっとりと全身に汗を掻きながら耐える。

「あの、お姉さん」

闇の中、少年が言った。

「エアコンはつけてあげられないけど、お風呂…入る?」

「え?」

美奈が顔を上げた。

「湯船に湯は張ってあるんだ。もうだいぶ前に入れたから、冷めて温くなってると思うけど…汗を流す事くらいは出来るよ。でも、水の音させたりシャワーは使わないでね。音で気付かれるから」

この暑さだ。

湯船に浸かって汗を流すくらいはしたい。

この非常時に入浴。

入浴中に襲われる事を考えたりもしたが、少年が見張っているので大丈夫だと言う。

「じゃあ…少しだけ」

美奈は立ち上がる。

「見張りついでに、君が覗いたりしちゃ駄目よ?」

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