BEAST POLICEⅡ
そして髪を洗い終わる頃。

「!!!!!!」

ガシャン!という窓が割れるような音。

驚いて目を開けた美奈は、湯船の湯が赤く染まっている事に、声も上げられないほど戦慄する!

暗い浴室の中でも分かるほどの、黒に近い赤。

紛れもない血の色だ。

そして湯船には、何か浮かんでいる。

サッカーボールほどの大きさの、何か。

頭髪の生えたそれは…。

「~~~~~っっっ!」

悲鳴にならない悲鳴を上げ、美奈は浴室から飛び出す!

下着をつけるのももどかしく、ワンピースと白衣だけを慌てて身に付け、濡れた髪も体も拭きもせずに脱衣所から出る。

少年を探すも、その姿はない。

やはり先程湯船に浮かんでいたのは、少年の…。

涙目になりながら、白衣のポケットに入れたメスを取り出して構え、部屋の中を警戒する。

何処?

何処に隠れている?

中毒者は、何処かに潜んでいる筈。

油断なく周囲を見回していると。

「っ……」

異常なまでに視線を感じた。

背後…いや、背後からだけじゃない。

いたる所からの視線。

美奈は闇の中、目を凝らす。

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