BEAST POLICEⅡ
こっちは形振り構っていられないほどに逼迫した状況だというのに!

男の呑気な口ぶりに、腹も立つ。

しかし今はそんな事より、少しでも助けが欲しかった。

幾ら感じの悪い相手だろうと、助けを求めずにはいられない。

「あ、あのっ!手を貸してもらえませんかっ?」

下から覗き見られている事も厭わず、美奈はとにかく懇願する。

「もうそこまで中毒者が来てるんです!私このままじゃ捕まってしまうんです!助けてっ…助けて下さいっ!」

美奈が言うのは当然の事だった。

いつ中毒者に追いつかれるか、いつ捕まってしまうか分からない状況なのだ。

そこに人が通りかかれば、初対面の相手だろうが、救助を求めるのは当たり前の心理。

しかし。

「何で?」

自らはぬくぬくと車の後部座席に座ったまま。

男は美奈の発言を不思議そうに問い返した。

< 135 / 305 >

この作品をシェア

pagetop