BEAST POLICEⅡ
絶望的だった。

助けは来ない。

自分の力で何とかするしかない。

「!!」

美奈のしがみ付いているベランダの手摺り。

その階の窓ガラスを、バンバンと叩く音が聞こえた。

中毒者が追い付いてきている。

もうそこまで迫っている!

「っっっ…」

のんびり手摺りを伝って逃げている余裕はない。

ここは2階だ。

上手くいけば死ぬ事はない筈。

一か八か、覚悟を決めて。

美奈は手摺りを手放し、階下へと飛び降りる!

宙を舞う体、気を失いそうな落下感。

空中にいたのは、ほんの何秒程度。

すぐに全身を衝撃が襲う!

「っっっ…はっ…!」

呼吸が止まり、体が弓なりに仰け反る。

相当な痛みが伴ったが、致命的な怪我はないと直感できた。

美奈が落下した先には、乗用車が駐車してあったのだ。

その屋根に落ちた事で、多少なりクッションの役割を果たしたのだろう。

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