BEAST POLICEⅡ
「くそっ!」

巽が近くにあった板塀に拳を叩き付ける。

無関係の環を人質に取られたその心中は、倉本とて察して余りある。

『すぐにそちらに迎えのヘリを寄越す。とにかくお前達は都内に戻ってくれ』

そう言い伝えて、刑事部長は電話を切った。

「…巽」

倉本が巽の肩を叩く。

「気持ちは分かるが熱くなるなよ。冷静になれ。激昂すれば連中の思う壺だ」

「っ…分かっています」

歯噛みして怒りを堪える巽。

考えようによっては、これは倉本達警察の反撃の糸口なのだ。

バスソルト流通によって、いいように翻弄されてきた倉本達が、事件を解決に導く為のチャンス。

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