BEAST POLICEⅡ
彼女が倉本達を先導してやって来たのは、とある雑居ビルだった。

「こっちよ」

その雑居ビルの裏手にある非常階段をのぼり、彼女は2階にあるドアを開けた。

「ここは…」

暗い部屋に漂う薬品臭が、倉本の鼻腔に届く。

「待って、灯りをつけるわ」

部屋の壁にあるスイッチを入れた女性。

そこは、ベッドや診療台、数々の医療器具も準備された病院だった。

いや、この小規模ならば診療所と呼ぶべきか。

こんな場所に診療所がある事自体、歌舞伎町の隅々まで把握している筈の倉本達でさえ知らなかった。

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