BEAST POLICEⅡ
一時間ほどかけて、全ての患者の処置を終了。

「ふぅ…」

額の汗を拭い、女性は一息つく。

「鮮やかだったな」

倉本が歩み寄り、声をかけた。

「若いのに大した腕だな」

「貴方もね…さっき見たけど、あの脱臼の患者さん…しっかり患部も固定してあったわ。なかなかやるじゃない」

そう言って彼女は、部屋の隅にあった冷蔵庫から烏龍茶のペットボトルを取り出し、紙コップに注いで倉本に渡す。

よく見れば検尿用の紙コップだったが。

「この診療所をやってる、田中 美奈(たなか みな)よ」

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