BEAST POLICEⅡ
何という事はない。

こんな暗い路地、歌舞伎町に診療所を構える美奈は慣れている。

自分に言い聞かせるようにして、ヒールの音をさせて歩く美奈。

大通りの灯りも喧騒も遠ざかり、聞こえるのは自分の足音のみ。

それが妙に心細く思えた。

(そういえばあの刑事…倉本さん…バスソルトの中毒者が増えてるって言ってたっけ…)

こんな時に限って、そのような不穏な事を思い出してしまう。

その四つ角に隠れていたら。

向こうの通りから現れたら。

暗闇と孤独というのは、考えなくてもいいよからぬ予感を助長させる。

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