BEAST POLICEⅡ
このまま停車したセダンと睨み合っていても仕方がない。

塞ぐようにとはいえ、全く隙間がない訳ではない。

美奈は気丈に、セダンの横を通り抜ける。

「……」

カツカツと響くヒールの音。

セダンは停車したまま、動かない。

フルスモークの窓ガラスは、車内の様子を窺う事は出来ない。

どんな人間が車に乗っているのかも、車の中で何をしているのかも、何人乗っているのかも。

その癖、車内からは美奈の様子がはっきり見える筈だ。

きっと車内から、歩いて行く美奈の事を見ている。

無言のまま、目で追っている…。

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