BEAST POLICEⅡ
「……」

無言のまま、医療器具を並べている台の上から、メスを手に取る。

息を殺し、足音を立てず、静かに診療所の中を歩く美奈。

忍び足で進み。

「……っ」

ユニットバスのドアを開く。

灯りもつけ、中を確認。

誰もいない。

浴室特有の湿気が、美奈の肌に纏わりつく。

が、人が隠れている形跡はない。

僅かに息を吐いた後、尚も忍び足で歩く。

今度はユニットバスと対角側、ロッカーに近づく。

普段白衣や、冬場にはコートなどの長物の服を入れておくスペースだ。

人が隠れるには十分。

メスを片手に握り締め、一気に扉を開ける。

「…っっっ…」

中は空っぽ。

白衣が掛けられているだけだった。

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