BEAST POLICEⅡ
水回りや間仕切りのカーテンの向こう側、窓の外まで確認する。

誰もいない。

これだけ探しても誰もいない。

だんだんと、美奈の警戒心が薄れていく。

…気のせい…か。

ほぅーっ、と、長く深い溜息。

メスを台の上に戻し、前髪を掻き揚げる。

おかしな夜だ。

いつもこの診療所で過ごしている。

往診にも向かうし、夜が更けてここに戻って来る事だって珍しくないのに、何で今夜に限って、こんなにビクビクしているのだろう。

(どうかしてるわね、私)

頭を掻いた後、ユニットバスに向かい、赤のワンピースを脱ぎ捨てる。

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