BEAST POLICEⅡ
走って、走って。

ハイヒールの走りにくさが、もどかしかった。

今にも転びそうになる。

苛立って、走りながらハイヒールを脱ぎ捨てた。

黒のストッキングは穿いているものの、素足でアスファルトを踏む。

小石を踏んだりして足の裏が痛かったが、我慢して走った。

この時既に、美奈は冷静ではなかったのだろう。

人の往来があり、警察官が警邏している大通りではなく、暗く狭い路地の方へと逃げてしまった。

彼女が近道として使っており、歩き慣れた道という事もあって、反射的にそちらを選んでしまっていたのかもしれない。

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