BEAST POLICEⅡ
腰掛けたまま、首を項垂れ、目を閉じる。

怖かった。

今も膝が震える。

一体何なのだ。

誰だったのだ、あのベッドの下に潜んでいた男は。

薬品棚のガラス越しに、美奈を凝視していたあの血走った眼が忘れられない。

常軌を逸した眼だった。

あんな眼をした者を、美奈は見た事がない。

完全に正常さをなくした者の眼。

倉本が言っていた、バスソルト中毒者が、ああなのかもしれない。

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