辛口な君は苦手です
ピンポーン…
少しドキドキしながらチャイムを鳴らしてみる。
…けれど一向に物音がしない。
いないのかな…それとも寝てる…?
もう一度チャイムを押そうと手を伸ばした時、
ガチャ
「はい、どちら様…ってう、えたけ!?」
ダボッとしたスエットに寝癖のついた髪の毛。
いつもより気だるそうな雰囲気に拍車がかかっている。
「か、風邪ひいたって聞いて、神崎の担任の先生にプリント届けるように頼まれたの。」
「あぁ、サンキュ。...お前、帰れ。」
「………風邪、うつんぞ?」
私が傘借りたから風邪ひいたのに…。
「私なら大丈夫だよ。
神崎、家族は..?お仕事?」
「あぁ、両親は海外。
向こうで仕事してっから、一人暮らし。
....たまに会うくらいだな」
え、、、予想外の返事に驚いた。
こんな大きなお家に一人で住んでるんだ…。
風邪ひいたりしたときっていつもより心細くなるのに、寂しくないのかな…?
「あのっ、薬飲んだ?」
「いや、ずっと寝て…っゴホゴホッ」
私にできること……
あっ!!
「お粥作るから、寝て待ってて?
お家、お邪魔するね。」
風邪をひいたのは私のせい。
一人暮らしじゃご飯を作ってくれる人もいないし、傘のお礼を込めてお粥を作ることにした。