恋愛ジャーニー
反射的に、周りを見渡してみるも、あたりは小川と田んぼがずっと遠くまで広がっているだけで、人っ子一人いやしない。
期待してなかったけど、溜息をつくのをやめられない。
追い打ちをかけるように、また鳴るお腹。
「やってらんない」
自転車を引きずりながら、土手から小川のほとりまで言って座り込んだ。
小川を流れる水の音と、たまにカエルの鳴き声と、風がそよそよと吹く音しか聞こえない。
まるでこの世界に、自分一人しかいないかのような錯覚に陥りそうになる。
目を瞑って、その感覚を愉しもうとしてみる。
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どれくらいそうしていたかわからない。
すごく長い間だった気もするし、ほんの一瞬だった気もする。
お弁当を買うだけですぐに帰るつもりでいたから、時計も携帯も持っていなくて、時の流れを把握しようがない。
ここは家とスーパーの丁度中間地点くらいで、行くにも帰るにも踏ん切りがつかない。
「どうしようかなあ」
思わずつぶやいたとき。