恋愛ジャーニー
「……貴女はここで何をなさってたんですか?日向ぼっこですか?」
何も言えないでいる私にを気を遣ってか、質問をしてくれる彼。
「ああ、いや、乗ってた自転車がパンクしちゃって、敢えて言うなら途方に暮れてたところです……」
「なるほど。なら、途方に暮れている者同士ですね、僕たち」
サーっと吹いた少し強い風で長い黒髪が私の視界を奪った。
適当にかき分けて右耳に髪をかける。
その時ちょうど雲に太陽が隠れて、逆光の眩しさからも解放され、
初めて見えた、相手の顔。
私に向かって微笑むそれは、いままで実際に見たことのあるどの人よりも、綺麗に整った端正な顔だった。
「……あっ、そ、そうですね」
相手の顔にじっと見入ってるうちに、目が合ってしまった。
うろたえそうになりながら、なんとか声を絞り出した。