ただいま。
何度か瞬きをして、視線を横へと動かした。
そこには、お母さん、お父さん、お兄ちゃん。
それから友達の有岡、宇佐美、詩音。
ちょっとまって、なんでみんなあたしの部屋にいるの。
それに、よく見ればみんな泣いてるし、なにがあったの?
「唯花!どこか痛むところはある?おかしなところはある?」
痛むも何も、そんなこと。
と、ここまで考えて腕を上げようとした。
体を起こそうとした。
『お母さん』ってしゃべろうとした。
でも、どれもできなかった。
「無理しないの!ねぇ、どこが痛いの?教えて?」
「母さん、そんなに言わなくたって、たぶん唯花は今の状況をうまく把握してないよ」
「そうだよ。ここは父さんが」
「親父もそんな涙と鼻水垂らしながら言うなよ」
そんなこと言ってるお兄ちゃんこそ、目が真っ赤だけど。
「お、母さん」
「何?唯花どこが痛いの?」
まだ言うのね、それ。