ただいま。
病院ってこんなにも静かなんだ。
ドア一つ挟んだ向こう側は、学校みたいに賑やかな声が聞こえることはなく、パタパタという足音がなんとなく聞こえてくるだけだった。
周りをそっと見渡してみる。
右側には窓。
左側には台とテレビと花瓶と点滴。
壁は白くて殺風景。
・・・寂しい。
病人ってこんなにも寂しい空間にいるんだ。
家には、学校には、家族や友達がたくさんいるのに。
詩音、泣いてたな。
宇佐美も、有岡・・・も。
「有岡・・・」
・・・あー、頭が痛い。
ーーーコンコン
「はい」
「起きてたかな」
静寂な空間に、一人の先生が入ってきた。