ただいま。
「ちゃんと話をするのは初めてだね。初めまして、主治医の大木(おおき)といいます」
「大木先生・・・」
「・・・頭が痛いかな?」
あたしが額を押さえていたせいか、先生がそれに気づいた。
「少し・・・というか、体中が痛いですね」
「そうだろうね、骨折、打撲だらけだからね」
事故ってすごいんだなって改めて思い知らされた。
「一人でここにいると寂しいよね」
「そうですね。病人ってなるもんじゃないですね」
「もちろん。人間みんな健康でいてくれることが嬉しいよ、医者としても」
ハハッなんて笑いながら先生はあたしにずっと話しかけてくれた。
家族のこととか、学校のこととか。
「んー・・・」
「おっと、話し過ぎたかな」
「あ、いえ、そんな」
まだ15分も話していないのに。
頭が痛くて。
「ごめんごめん。また看護師とかも来ると思うから、何かあったらそのとき言ってくれてもいいし、ナースコールもして大丈夫だからね」
「あ、ありがとうございます」