優雅に舞う天使と花(加筆修正版:更新中)
クールで仕事では厳しくて

慌ててるところも動揺してるところも

決して見せた事のない人が私の為に…。

嬉しさと恥ずかしさで胸がドキドキした。

「…どうかしたか?」

優雅さんがキッチンから出て来て私を見下ろした。

普段はワックスやヘアスプレーでセットしている優雅さんの髪は

洗って乾かすとふんわりとした緩い癖毛が

普段とは違う魅力を醸し出す。

会社では見る事のない

こんな姿を見られるのも私だけ。

誰にも見せたくないな…。

誰にも見せないで欲しいな…。

「…舞花?」

優雅さんが心配そうに覗き込んだ。

見惚れてたなんて恥ずかしくて言えず

「…あっ…私、出張バッグ片付けてきますね。
そう言えばさっき、バッグから携帯鳴ってましたよ?」

ドキドキを抑えながら優雅さんに要件を伝えた私は

出張バッグを持ってリビングを出ると

バッグを片付けて洗面所で歯磨きを済ませた。

リビングに戻ろうとした時

ーー「…ああ、はい、是非…。
……ええ…また寄らせて貰いますよ。
ハハッ…そうですね…。」ーー

ドアの向こう側で優雅さんが誰かと話す声がした。

電話中?誰だろう?

出る時に閉めて行かなかったから

リビングのドアは半分開いている。

私はドアに近づいてそっと中の様子を見る事にした。
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