優雅に舞う天使と花(加筆修正版:更新中)

***

「石田さんを振っちゃうなんて
舞ちゃんてば、もったいないなぁ…。」

会社の昼休みに私と同期で

同じ東京事業所の経理課に勤める

聖ちゃんこと

森谷聖子(もりたに せいこ)と

事業所内の中庭のベンチで

買ってきた昼食を摂りながら

話を聞いて貰っていた。


「うん…石田さんは優しい人だよ。
皆に人気あるのがわかる気がする。
でも私はやっぱり…。」

そう言って私はパックのカフェオレを

ストローで吸い上げる。

「うん、勿論わかってるわよ。
舞ちゃんは赤羽さんがいいんでしょ?」

「…うん。」

聖ちゃんの問いに素直に頷いた。


「…でもさぁ。」

ペットボトルの紅茶を飲みながら

聖ちゃんは私を見た。


「舞ちゃんは本当は
現状に満足はしてないんでしょ?」

「……。」

私は黙ってしまった。

「それに舞ちゃんは歯痒いんでしょ?
赤羽さんが出張の度に
食事に誘ってくれるようになったのは
ヨシとしても、進展がない事とか
突き放される言い方されるのが
辛くて堪らないんでしょ?」

痛いところを突かれて反論出来ずに私は

正直に頷くしかなかった。

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