優雅に舞う天使と花(加筆修正版:更新中)
「……!!」

一瞬何が起こったのかわからなかった。

私…今…抱き締められてる?

赤羽さんに抱き締められてる?


ようやくハッキリした視界の中で

シャツを通して伝わる赤羽さんの心臓の音と

赤羽さんの香水の匂いを真近に感じ

私は今赤羽さんに抱き締められている事が

嘘ではないと実感し始めた。


「……赤羽さん…あの…どうして。」

混乱する頭の中で顔を見上げると

赤羽さんが至近距離で目を細めながら

ジッと私を見つめていた。

「あの…。」

今まで私はこんなに至近距離で

赤羽さんに見つめられた事などない。

ましてや私の腰に赤羽さんの腕がまわり

もう片方の手は私の後頭部に。

完全に私は身動きが取れない体勢になってる。

「赤羽さん…あの…。」

さっきから言葉が出て来ない。

寧ろこの展開に心と身体がついていかない。

なぜ…どう言う事…?

ドキドキと私の胸がうるさいくらい高鳴る。

鋭い目から覗く瞳に私が映る。


「…篠村。」

長い沈黙の後、赤羽さんが私の名前を呼ぶ。

そして

「…お前は俺の事など…フラれた時に散々憎んで
素直にやめておけば良かったのに。」

と、突然そう言い始めた。
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